黒胡麻

胡麻は、ゴマ科の一年生草木で、亜熱帯の植物です。原産地はアフリカのサバンナ地帯です。胡麻がこの地球上に存在した歴史は古く、紀元前三千年以前より、ナイル川流域で栽培されていたとも言われています。そして古代エジプトに伝わり、食用にしたほか、香料や化粧品としても使われ、さら に驚くことにミイラを作るとき仕上げに防腐剤として利用されていたとも言われています。やがて古代ギリシャやローマへと伝わり、古代文明で胡麻の栽培はますます盛んになっていきました。一方では、アフリカ東部から中近東諸国、インドへと渡り、インドからシルクロードを経て、中国、日本へと伝えられました。しかし、一説によると中国にはメソポタミアやアラビアからすでに入っていたと言われ、黄河文明 の紀元前三千年頃には栽培されていたとも言われています。日本で胡麻が本格的に食用として重要視されるようになったのは奈良時代以降、平安時代になってからです。さらに仏教の伝来により肉食禁忌の戒律によって、胡麻や大豆など植物性食品中心の精進料理が発展していきました。胡麻油はなたね油より古い歴史を持っています。

黒胡麻には必須アミノ酸をたっぷり含んだ良質なタンパク質や脂質、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維などがたくさん含まれています。脂質には、リノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、健康維持に役立ちます。ミネラル類は鉄分やカルシウム、マグネシウムが豊富です。カルシウムなどは100g中1,200mgも含まれていて、牛乳の12倍にもあたります。また、胡麻には、セサミン・セサミノール・セサモールといったゴマリグナン類の特殊成分が含まれているのも特長であり、これが私たちの健康維持に役立つことがわかってきました。
【ごまにしか含まれない貴重な成分 セサミン】

セサミンという成分は、ゴマリグナンの中に含まれる貴重な成分です。ゴマリグナンは、ごま全成分中に約1%しか含まれていません。その約半分をしめるセサミンはごまにしか含まれていないことが、判明しています。昔からごまは身体にいいといわれているのは、このセサミンが関係しているのが、近年の研究でわかってきています。家庭のごま油が他の食用油より酸化が遅いのは、実はセサミンを含んだゴマリグナンのおかげなのです。